コロナが大幅下押し 旅館、最大の悪化幅


 帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の2月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比3.2ポイント減の38.7と、5カ月連続で悪化するとともに、7年ぶりに40を割った。「新型コロナウイルスが国内景気を大幅に下押し」と同社。業種別では、旅館・ホテルが同15.3ポイント減の23.2と、3カ月連続で悪化するとともに、調査開始以降で最大の悪化幅となった。

 10の業界別では全てが悪化。51の業種別では、放送(0.8ポイント増の38.9)の1業種のみが好転した。

 10業界のうち、サービスは4.4ポイント減の45.1と、2カ月ぶりの悪化。旅館・ホテルのほか、飲食店(8.7ポイント減の32.3)、フィットネスクラブなどが含まれる娯楽サービス(3.7ポイント減の35.7)で、新型コロナウイルスによる外出の手控えが影響し、大幅に悪化した。好転は放送のみだった。

 運輸・倉庫は5.5ポイント減の34.0と、3カ月連続で悪化。新型コロナウイルスの影響で旅行客が減少し、旅行業やバス、タクシーなどの自動車運送業の景況感が急激に悪化した。

 製造は2.7ポイント減の34.9と、10カ月連続で悪化。新型コロナウイルスで中国の製造業の生産ラインが低下し、輸出入両面で悪影響が表れた。

 10の地域別も全てが悪化した。このうち南関東は3.4ポイント減の41.1、近畿は3.5ポイント減の36.3と、それぞれ2カ月ぶり、5カ月連続で悪化した。都道府県別では45都道府県で悪化。東京は2011年3月以来の大幅下落となった。

 規模別では、大企業、中小企業、小規模企業が5カ月連続でそろって悪化した。

 景況感に関する企業の主な声は次の通り。

 「新型コロナウイルスの影響で観光地に人が来ない」(現在、悪い、養鶏)。

 「新型コロナの影響で新規ホテル開発が延期となっている」(現在、悪い、不動産代理・仲介)。

 「新型コロナウイルスによる旅行中止が続発している」(現在、悪い、一般貸切旅客自動車運送)。

 「新型コロナウイルスの影響でインバウンド中心に宿泊キャンセルが相次いでいる。中国だけでなく風評被害含め欧米にも影響がある」(現在、悪い、旅館)。

 「新型コロナウイルスの影響で、衛生管理関連製品の需要が急増」(現在、良い、化学品卸売)。

 「Windows7の更新で需要の先食い状態が続いている」(現在、良い、情報家電機器小売)。

 「東京五輪の開催前後はその好影響が出てくるとみられる」(先行き、良い、食料・飲料卸売)。

 「東京五輪関連の仕事が増加する」(先行き、良い、一般貨物自動車運送)。

 「コロナウイルスの動向次第なので分からない」(先行き、どちらでもない、一般貨物自動車運送)。

 「新型コロナウイルスによる影響が残ると見込まれる」(先行き、悪い、一般旅行)。

 「新型コロナウイルスが早期に収束する気配はみえない。東京五輪が中止にでもなれば景気はさらに悪化するとみられる」(先行き、悪い、一般乗用旅客自動車運送)。

 
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